以前、セミナーで地方を回った際に、地方の法律事務所の先生とお話しした時のことです。

その先生が「相手が〇〇法律事務所だと負ける気がしない」と言ったのです。

その事務所は各地に支店があり、所属弁護士の数も多い法律事務所です。

そこで、どうして負ける気がしないのか、その理由を聞くと「その地方の支店にいる弁護士は2名だけで、しかも支店長の弁護士は登録番号から弁護士になって5年未満の若造だ」というのです。

若造でも弁護士は弁護士ですから、負ける気がしない理由をさらに聞くと、相手の裁判の進め方がお粗末だったり、示談交渉の際もこちら側が有利な条件で和解できたり、と「相手が〇〇法律事務所だと楽だ」と言っていました。

大手の法律事務所なので、本部の方には優秀な弁護士もいると思います。
ですから、本部がきちんと支店のサポートはしていると思いますが、いかんせんキャリアが浅く、ただ伝言するだけの伝書鳩のようで支店の弁護士は上手く対応できていないようです。

また地方にはその地方の裁判官の色もあるようで、裁判やプロの弁護士同士の交渉ともなるとキャリアがものをいうのかと感じたものでした。

医者は若い先生でも患者を診察し治療できています。

ですから私はそれまでは、弁護士も医者と同じで、資格を得たのだから若くてもちゃんと弁護できるものだと思っていました。

しかしよくよく考えてみると、医者は「医者対患者」というような構図で、知識は医者にあり患者は素人になります。

ところが弁護士の場合は、相手方にも弁護士が付けば「弁護士対弁護士」というように「プロ対プロ」の構図になります。

そうなると医者と同じという訳には行きません。

知識・経験がものをいうようになるのです。

もっとも若くても優秀な弁護士はたくさんいると思いますし、経験が長くても優秀ではない弁護士も多くいると思います。

しかし一般的には「プロ対プロ」になったら、キャリアを積んでいる方が強いと思うのは消費者心理としてあると感じました。

大手の法律事務所は、大手ということで消費者を安心させ『大手』であることを集客に上手く活用しています。

それに対し、大手に負ける気はしない地方の法律事務所の場合、どのようにマーケティングしたらよいのか? あなたならどうしますか?

私は、よい製品を作っているメーカーやよい商品を売っているお店が、マーケティング手法を駆使して、消費者にどんどん商品を買ってもらうのは悪いことだとは思っていません。

なぜなら、よい商品を消費者は手にできるからです。

弁護士サービスも同じだと考えています。

よいサービスを提供しているのであれば、マーケティング手法を駆使してでも、消費者にアピールすべきだと思っています。

ではどうしたらよいでしょうか。

私がアドバイスしたのは「先生がいま言われたことをホームページに書いて、先生のキャリアをアピールしたらいかがですか」というものでした。

もちろん同業者の悪口を書くことはいけませんし、相手がどの法律事務所がわかってしまうような書き方もいけません。

がしかし、自分の経験をホームページに書いてアピールすることは何も問題ないと思います(守秘義務は当然あります)。

一般の方々は「大きいところがいいところ、強いところ」というイメージがあります。

以前にも言いましたが、何度でも言います。

情報の非対称性(詳しくは「弁護士選びと情報の非対称性」をご覧ください)を埋めなければ、いつまでたっても消費者は間違った弁護士選びをするのです。

ですから、若造に負ける気がしないのであれば、弁護士の数が多いだけの事務所に負ける気がしないのであれば、書ける範囲でそのことを書いてアピールする必要があります。

そこまでしても現実的には、資金力が違いますから、大手に集客で勝つのは難しいと思います。

しかし、お客によいサービスを提供できるのであれば、やれることはやるべきだと思います。

この記事が参考になれば幸いです。

今後とも弁護士マーケティング研究会をよろしくお願いいたします。

弁護士費用に関するサイト「弁護士費用.com」もよろしくお願いします。